算数や数学が苦手な人のよくある誤解
私自身も算数や数学に手を焼いた時期がありました。だから、わかるんですよね、算数や数学が苦手な人たちの考え方が。
でも、その考え方こそが、算数や数学を苦手にしている元凶なのかもしれません。
こんなふうに算数や数学のこと考えていませんか?
誤解その1 「計算問題より文章題のほうが難しい。」
保護者の方と面談しているとかなり高い確率で「うちの子は文章題が苦手で」という相談を受けます。
模試や入試の結果などでは確かに文章題のほうが正答率が低いので文章題を苦手とする人が多くいることは間違いないでしょう。しかし、それは「文章題が難しいから」かというと、一概にそうは言えないのです。
というのは、文章題の中には正解するための計算式自体は平易なものというケースが少なからず存在するからです。逆に言えば、計算問題のほうが、式そのものは複雑なものである可能性が高いということです。とくに中学受験では、計算問題のほうがよほど高度な計算技術を使わないと正解できないような問題が多く出題されることが珍しくありません。出題者が文章題で見たいのは受験者の計算力ではなく、数学的な思考力なのですから、計算力に多少自信がない人にこそチャレンジしてほしいのです。
たしかに、計算問題のほうが正答率は高めです。しかし、それは「文章題のほうが難しい」と最初からあきらめてしまっている人がいることに対して、計算問題はとりあえず作業に取りかかれるということが大きく作用していると思われます。
「文章題が難しい」と感じるのは、「解き方がわからない」ことがあるからなのです。計算問題と違って最初の一歩が踏み出せないことがある・・・
だから、多くの算数・数学が苦手な人はこう思うんですよね・・・「得意な人はすごいなぁ。こんな問題の解き方を思いつくなんて・・・」と。
誤解その2 「算数や数学が得意な人は、その場で解き方を思いつく。」
あえて誤解を恐れずに言えば、算数や数学は暗記科目です。算数や数学が得意な子は、その場で解き方がひらめいたりするのではなく、今まで学習した解き方を「思い出している」だけなのです。発想力を要求される問題であっても、それは今まで学習した解き方を組み合わせていくだけでほとんど問題は解けるようになっています。算数や数学の試験問題を出題する先生方は、べつに受験生に「発見」をしてもらいたいわけではありません。
ふだん教えていても痛感するのですが、算数や数学が苦手な人のほとんどは、最低限覚えていなければならない「目の付け所」「考え方」「解き方」を暗記しきれていません。授業で教えた問題とまったく同じ問題でも、数時間後には解き方をきれいさっぱり忘れているのです。ましてや類題や応用問題なんて解けるわけがありません。そして、そういった人たちは、算数や数学の「目の付け所」「考え方」「解き方」は覚えなければならないものという認識がないから、「覚えよう」とも思わないし、覚えるための努力や工夫をまったくしません。なぜなら、彼らは問題の解き方は試験本番で思い浮かぶものと信じているからです。
誤解その3 「算数や数学が得意な人は、暗算で解いている。」
算数や数学が得意な人は、解く速度が早い人が多いのかもしれません。そして、算数や数学が苦手な人は、その速さの秘訣は暗算にあると思い込んでいる人が多いようです。そのため、算数や数学が苦手な人は少しでも計算速度を上げようと暗算に果敢にチャレンジして、計算ミスを多発してしまい、さらに自信をなくしていくのです。
しかし、算数や数学が得意な人はほとんど暗算をしません。むしろ、こんな計算まで!と思うような計算まで丁寧にひっ算をしています。そして、その計算で求められた数値や、式などがとてもわかりやすく紙面に整理されて書かれています。その結果、式や値の意味がはっきりわかり、次にすべき作業が自然とすぐに見えてくるので、手が止まることがありません。このことこそが、算数や数学が得意な人の高い速度と正答率の根源なのです。
これが「できる子」が問題を解いたあと。板書の写しではなく、自分の頭で考えてこういうノートの使い方をしています。
算数や数学を得意にするために
もうおわかりですね。算数や数学が苦手な人は、問題の解答が間違えている・・・以前に、算数や数学への向き合い方自体がすでに間違えているのです。まずは今までの誤解を解き、その誤解と逆のことをしてみましょう。つまり、
① 文章題から逃げない。
② 文章題の解き方はしっかり暗記する。
③ 計算はすべてひっ算で、紙面を常に整理することを意識しながら。
これだけをしっかりやっていただければ、あとは私たちがみんなを必ず算数や数学を得意にしてみせます!
それでは、今日はこのへんで。
中村 五十一
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