取手聖徳さんの授業改革が熱い!

2018年6月14日

取手聖徳女子さんの説明会に行ってきました。

この時期になると各学校で開催される塾対象の説明会で、今年は取手聖徳さんがトップバッターとなります。

 

今回は、はじめに説明会、それから授業見学、そして懇談会という3部構成でした。

ひととおりの説明会が終わったあと、授業見学です。

授業見学は、どこの学校でも行っており、とくに珍しいものではありません。

 

しかし、今回の取手聖徳さんの授業見学で公開された授業は攻めてましたね。

どの授業も、小グループにわけられた生徒が、その中で発表したり討論をしたりしていく形式なのです。

ある教室には、そもそも椅子がなくて、生徒たちが立ってテーブルに集い、マインドマップを描いてたりします。

 

なるほど、これは最近教育業界では話題の「アクティブラーニング」というやつですね。

でも、天邪鬼な私はまだまだ驚きませんよ。

学校の先生方はみなさん勉強熱心なので、こうした新しい話題になっている学習法を取り入れてくること自体は珍しくありません。

そして、こうした新しい取り組みは残念ながらたいては、日本の教育全体を覆っている超保守的なナニモノかによって換骨奪胎されうやむやになり雲散霧消してしまうこともまた珍しくないからです。

また、こうした授業見学時の授業は、とかく「よそ行き」的なものになりがちなのは、学校の授業参観でもおなじみのとおりです。

 

 

授業見学が一段落すると、今度はさきほどとはちがう場所に通されました。

この時点で、取手聖徳の先生方によって巧妙にしかけられた罠にすでに私がはまっていることに、愚鈍な私はまだ気がついていないのでした。

先ほどの「説明会」は聴講者がみんな前を向いて座る講義室で行われていたのに対して、「説明会」のスライドの続きが始まったこの部屋はテーブルに座る会議室です。

おのずと<聴く>以上に<聞く>ことへの比重が高まるんですよね、この形式は。

 

説明会の後半と懇談会でプレゼンされている小林先生のお話しがとくに興味深く、「小林先生にもっとお話しを伺いたい!」という恋にも似た感情が私の中に芽生えていました。

 

取手聖徳の先生方は、「自慢のわが校のことをもっと知って!」という思いでこの罠を仕掛けられたのでしょう。先のアクティブラーニングでの経験と知見がこういう形で活かされているとは!

 

そんな私は

「マイクロソフトのTeams、まぁSlackみたいなものでして・・・」

というような小林先生の言葉に心がいちいち反応してしまいます。

 

そして、素敵なプレゼンが終わったあと、その小林先生が、なんと、私の座っているテーブルに近づいてきました。

もはや私は告白直前の中学生のような高揚感につつまれておりました。

 

しかし・・・・

 

おや!?

 

なんということでしょう。

 

私の隣の先生が小林先生を捕まえて、何やら楽しそうにお話しを始めまてしまいました。

「ふん!次は私の番だからね!」

と、もはや私は恋愛モードの中学生そのものです。中身は中年のオッサンですが。

 

 

冷静を装って、私はアンケートを書きながら隣の先生のお話しを終えるのを待ちます。

しかし、アンケートを書き終わっても、まだお話は終わりません。

仕方がないので、アンケートを書くふりをしてお話しが終わるのを待ちます。

ところが、おふたりのお話はますます熱が入っていきます。

それがわかるのは、私が隣でずっと聞き身を立てていたからだということは、言うまでもありません。

 

アンケートを100枚くらい書くふりをしたころでしょうか・・・

 

さすがに私の演技力も限界に達したので、失礼を翔智、いや承知でお話しの輪の中に半ば強引に入っていっちゃいました。

 

お隣の先生は、青山ゼミナールの細田先生という方でした。

 

「おお!あの青山ゼミナールさんですか!」

 

お名前を伺って、思わず叫んでしまいました。

 

青山ゼミナールさんは、茨城県でもいち早く速読トレーニングを取り入れて成果をだしてきた県西の学習塾さんです。

じつは、速読トレーニングの取入れを検討する際に、青山ゼミナールさんのサイトを端から端まで穴の開くらいに拝見させていただいていたんですよね。

やはりというか、そういう先見性のある塾の先生ですから、とにかく知識が深く情熱が半端ないのです。

 

そんな細田先生とさきほどの小林先生とのお話しです。

アツクないわけないじゃないですか!

 

「私が受けてきた80年代のアメリカの教育を彷彿とさせるなつかしさみたいなものも感じました。」

という私の一言で、

 

「彼もアメリカからの帰国生ですよ。ICTにかんしては彼が中心になってやってくれています。」

小林先生がもうひとり若い先生、栗原先生を紹介してくださいました。

 

なるほど、取手聖徳さんの先進的な取り組みは「チーム」でなされていたのですね。

これ、大事なんですよね。

というのは、先進的な取り組みへの試みは、仲間がいないとえてして例の超保守的なナニモノかによって簡単に孤立化させられてしまうからです。

 

 

取手聖徳小林先生・栗原先生にしかける青山ゼミナールさんの細田先生、それを見守りつつカバーしてくださる岩崎・張替両教頭先生。

今の日本の教育がかかえる問題。それを超えていこうとするさまざまな試みとその検証・・・話しはつきません。私の暴走は止まりません。

なんと至福の時間だったことでしょう。

 

今日見てきた取手聖徳さんのアクティブラーニングやICTの活用は、こうした先生方のアツイ情熱と深い知識の氷山の一角に過ぎないのでしょうね。

実際には、理論通りにいかないのが教育現場です。

しかし、だからこそ、こうした情念の熱量と知識の広さと深さが求められるのです。

そうした膨大なエネルギーがようやく、教室の現実を小さく、しかし、確実に変えていく。

 

今年の取手聖徳さんは、そんな学校でした。

大幅に時間を超過して居座ってしまった取手聖徳さんに申し訳けなく思いながら、ひさしぶりに晴れた天気と同様の気持ちで校舎を後にしました。

 

最後に張替教頭先生の印象的な言葉を。

「女子校だから、アクティブラーニングができるんですよね。異性がいる恥ずかしさもないですし、もともと女の子たちは話し好きですから。」

 

珍しく長くなってしまいました。

それでは、今日はこのへんで。

 

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中村 五十一

株式会社スタディー・プレイス代表取締役。STUDY PLACE 翔智塾の「ボケ」担当、「ツッコミ」は生徒たち。授業は「生徒たちとの掛け合い漫才」だと思っている。塾講師歴30年。県下最大手塾・茨進の教室長などを歴任。千葉テレビの「茨城県立高校入試の解答と解説」で3年にわたり解説を務めた。
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